事業II　生分解性バイオポリマー及びその応用製品の開発・製造・販売

1.特徴

(1) 社会的ニーズと問題

合成樹脂製品はあらゆる生活の場面・産業分野で欠かせず、今後も大きく伸びると予測されていますが、合成樹脂産業の成長は、同時に大きな問題もはらんでいます。

① 将来的な石油資源の枯渇と価格変動
② 使用済みの製品の焼却によるCO2ガスの発生
③ マイクロプラスチック蓄積による海洋環境の汚染

特にマイクロプラスチックによる海洋汚染は全地球的な課題となっております。これらの問題の根本的な解決法の一つが、生分解性バイオポリマーを使用することです。

(2) 当社の生分解性バイオポリマー；ポリヒドロキシアルカン酸（ＰＨＡ）

種々の“バイオポリマー”を用いた製品の開発も進められていますが、実際に自然環境下で“生分解性”と言えるのは、ポリヒドロキシアルカン酸（ＰＨＡ）とセルロースのみという報告があります。
ＰＨＡの開発は長年国内外の多くの企業や研究機関で進められてきましたが、その物性・加工性の問題や微生物による生産・精製の高コストにより販売価格が高い、などの理由により実用化は遅れているのが現状です。
弊社は、アジアの大学と共同開発を進め、PHAの一種のコポリマーの開発を進めてきました。

(3) ＰＨＡの特徴

ＰＨＡは、炭素を資化する多くの細菌細胞中で生合成され分解再利用される点が他のバイオポリマーと決定的に異なる点であり、優位点であります。自然環境下で完全分解される所以です。
しかしながら、上に記したように、物性や加工条件、特に高い販売価格が実用化の大きな障害となっていました。

(4) 当社技術の特徴

当社の開発した重要な要素技術は以下の通りです。

① より高い効率で生産する生合成系の主要酵素の新規ゲノムの発見同定とそれらを組み込んだ生産菌。
② 低価格パーム油成分等を主要な栄養源とする微生物発酵プロセス。
③ 極めてユニークであり、かつ低コストで運用可能なＰＨＡ精製プロセス。
④ 種々の物性を持ち加熱加工工程を容易にするよう、コポリマーの成分比の選択が可能。
⑤ 以上の改良の結果、生分解性バイオプラスチックを、石油由来プラスチックの販売価格と十分競合し得るコストで製造することが可能となりました。このような製品は、サスティナブル社会に貢献できます。

2.応用

当社の開発したＰＨＡコポリマーは、“生分解性”という、石油由来プラスチックとの基本的な差異に加え、接着性、気体透過へのバリヤー性、水と油の分離性能、高い撥水性、独自の柔軟性、等々のプラスチックとして有用な性質を示します。